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豊 秀之 > 体験レポート

がんを経験して気づいた美容師の本当の役割

パーソナルインタビュー
RIPS medical-beauty(リップスメディカルビューティー)豊 秀之

Report2018.01.26

抗がん剤や先天性の脱毛で医療用ウィッグを付けている方も、自分らしいスタイルで笑顔になってほしいと、ウィッグの似合わせカットを行っている豊秀之さん。美容師を一歩超えた“医療美容師”としての活動を始めたきっかけは、ご自身の闘病体験でした。

  • 豊 秀之さん

    美容師、経営者として活躍するさなか、がん患者となったことで、美容の重要性を再確認。医療用ウィッグの似合わせカット、傷跡を隠すメディカルメイクなど“医療美容”の普及に努める。

闘病体験を通して気づいた
女性の髪にかける想い

45歳で直腸がんが見つかりました。がんの摘出手術は成功したのですが、術後に縫合不良を起こして一時的に人工肛門を付けることに。サロンに立てなくなった間に、NPO法人でがん患者の支援を始め、そこで抗がん剤の副作用で脱毛したウィッグ姿の女性たちに出会ったんです。僕が美容師だと知ると、「このウィッグ、おかしくない?」と見せに来られる。「フロントがペタっとしやすいから、ふわっとさせれば自然ですよ」と伝えると、「プロが言うんなら安心やね」と笑顔になるんですね。
活動していた団体に末期がんの若い女性がいました。脱毛が嫌だからと抗がん剤を拒否されていて、その後亡くなられたんです。訃報を知った時、死ぬかもしれへんっていう瀬戸際で、“髪が抜けるぐらいなら抗がん剤を使わない”という選択をしたことにものすごい衝撃を受けました。

─ 美容師として何かできることがないかと考えた豊さんは、医療用ウィッグの似合わせカットをスタート。しかし、当初は試行錯誤の連続でした。


お客様の健康を考えることが
美容師の社会的責任

─ ご自身を“ウィッグの似合わせ屋さん”だと語る豊さん。病気をしてから、美容師の責任について考えるようになったと語ります。

「髪をきれいにして、その人を元気にする」と美容業界ではよく言いますが、それってどちらかと言えば表面をきれいにするイメージですよね。美容師がなぜ国家資格なのかを考えた時、美容室はお客様に健康でいられるための情報を発信する場所であるべきだと思ったんです。「未病を防ぐ」という言葉がありますが、「食べる時はよく噛んで唾液をたくさん出した方がいい」など、健康でいられるための情報を発信していきたい。それが美容師の社会的な責任だと思います。

─ サロンで患者さんに接する傍ら、同じような志を持つ美容師を増やすために“医療美容師”の育成にも力を入れています。

ウィッグの似合わせ屋さんを始めた時、神戸だけでなく、岡山や広島、四国からもお客様がいらっしゃったんです。「担当の美容師さんにお願いできなかったんですか?」と聞くと、「ウィッグはよくわからないと言われちゃって」と語るお客様が多かった。僕はがん患者でもあるので、この状態はあかんなと思った。お客様がお困りの時に助けてさしあげるのが美容師の役割だと思い、医療美容の必要性を美容師仲間に伝え始めました。現在では、医療美容師を育成するアカデミーや認定団体「一般社団法人ランブス医療美容認定協会」を立ち上げ、活動をしています。

  • 豊さんからのメッセージ
  • 抗がん剤治療の準備でショートカットにされるお客様もいらっしゃいます。ショートが初めてでも僕が絶対に似合わせるので、安心して任せてください。ショート姿が気に入れば、髪が短い段階でウィッグを外す勇気が出ます。自毛デビューも早くなりますよ!
今回の施術料金

医療用ウィッグカット 6,000円(税別)
医療用ウィッグのベース&似合わせカット 8,000円(税別)
医療用ウィッグ 6,000円(税別)~

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