「目指せ、ロングヘア!」一念発起して伸ばし始めたけれど、中途半端なスタイルに嫌気がさして切ってしまった…そんな経験はありませんか?挫折の原因は、途中段階のスタイルに“我慢”をしていたことかも!?伸びても扱いやすく、再現性が高く、心躍るデザインだったら伸ばす過程も楽しめると語るスタイリスト・久保田 光代さんの技術をレポートします。
体験する人:穂坂さん(45歳)
「久保田さんにしか切ってもらいたくない」とFLOWをこよなく愛するお客様。2週間に1度はカラーのメンテナンスを行い、毎回スタイルチェンジをするなどオシャレにこだわりあり。ボブを目指して伸ばしています。
担当美容師:久保田 光代さん
大阪、神戸の美容室で経験を重ね独立。持続力と再現性の高いスタイルづくりに定評があり、京阪神以外から通うお客様も多数。知らなかった自分の魅力に気づかせてくれる提案力にも定評があります。
今回のモデルは、ママ友である穂坂さん。お子さんの保育園が同じだったことから意気投合し、20年近く通われているお客様です。今回のリクエストは、ショートからワンレンボブにするために伸ばしたいというもの。オシャレにこだわりのある穂坂さんに対して、久保田さんはどのようなアプローチをするのでしょうか?
久保田:夏なので、襟足のもたついている部分をなくしてスッキリさせましょう。伸ばしている途中はこの部分が一番気になるので、しっかり切っていきます。
まずはカウンセリングで要望を聞き、施術の流れを説明。久保田さんのお客様は、紹介で来店される方が多いそう。「自分でリクエストするよりも、久保田さんにおまかせしたほうが満足度が高いよ」と言われている方がほとんどです。
久保田:おまかせと言ってもお客様のライフスタイルとのすりあわせは必要です。主婦なのか? お仕事をされているのか? お手入れはどこまでできるのか? ブローやスタイリングは得意なのか? などで、切り方も変えるようにしています。
まずはシャンプー。髪表面についている汚れを丁寧に落とし、カットの準備を行います。
まず切るのは、襟足の伸びた部分。その後、すきバサミで毛量を落としていきます。頭部には約10万本の毛があり、6年周期で生え変わります。1日50~80本は抜けて、新しい毛が生えはじめます。伸びてくると根元にボリュームが出てもたつくので、新しい毛が生えても気にならないよう、隙間を作るようにボリュームをダウンしていきます。
久保田:カットの中で一番重要なのがベースカットです。ここがきちっと仕上がれば、2ヶ月経って伸びたとしてもきれいでいられます。伸びた時にスタイリングがしにくいというのは、ベースカットが甘かったからなんです。
ベースカットが終われば、髪の乾かし方をレクチャーしながらドライ。久保田さんのブローは、ハンドブローが基本。ブラシを使うと「こんなブローができるのは美容師だから」と自分でブローをすることをあきらめてしまうお客様が多いためと語ります。
久保田:髪は乾く瞬間にクセづけられるので、しっかり乾かすことがポイント。乾ききらない状態だと、寝癖もつきやすいんです。「なんとなく乾いたな」でブローを終えるのではなく、乾いたと感じてからあと2分乾かしてくださいと皆さんに伝えています。
ドライ後、立体的に見えるように調整していきます。質感と骨格に合わせて全体のバランスを見ながらカット。フロント、バック、サイドからの見え方も細かくチェックしながら丁寧に仕上げます。
お客様をよりよく見せる究極のデザインとなるように一心にハサミを動かす久保田さん。指を酷使するため、ハサミはすべてオリジナルでオーダー。刃を湾曲させることで、手への負担を軽くしています。
いよいよ最後の仕上げです。しっかり巻いて仕上げたいという穂坂さんのリクエストを受け、コテでゴージャスに。後頭部を高く見せることで、小顔効果もばっちり。鏡を見た穂坂さんからは、満足そうな笑みがこぼれました。
施術を終えて…