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【神戸のこだわりと、魅力が輝く企業さま】インタビュー vol001『華道未生真流「悠月庵」正教授/総会司師範代 悠月庵恵甫こと熊原恵』(前編)

NEWS2017.12.06

Kamistaのコンセプトである「美容師さんのこだわりと魅力」を神戸の〇〇さんの「こだわりと魅力」ということで発信させていただきます。今回は第1弾!

華道未生真流「悠月庵」正教授/総会司師範代 悠月庵恵甫こと熊原恵(Megumi Kumahara)様に取材させていただきました。

何を使うより、
自分がどういう空間にいたいか!
から始まる(前編)

——— 生花の世界に感動!そしてお仕事に

神戸で花屋に勤めていた頃に、母が病気になり、毎月2回実家のある出石に帰るようになりました。長距離の移動と看護にだんだんとストレスを感じるようなり、母の体調のいい時に、何か仕事に役立つかもと祖母の代から通っている「未生真流」へいけばな体験に行ったのがきっかけです。それがとっても面白くて、高校生の頃すすめられた時には、嫌で、ダサいと思っていたのに、花屋の仕事でしていたフラワーアレンジメントとは全然違う考え方でしかも格好いいと衝撃を受けました。

——— 花屋さんと全然違うとはどういったところですか?

フラワーアレンジメントって、「花がかわいいもの」を作るという感じですけど、生け花は花の出生や、組み合わせ、誰かのために生ける想いにもこだわります。そして、そもそも花を生けるというより、空間を生けるという考え方なんです。
この場 所にはその花はどういう意味があるのかみたいな感じです。例えばこの(机)センターに生けるのと、あそこ(窓)に生けるなら器から花から違います。光の加減や季節感もすごく大切になる、花の持っている意味もたくさん紐付いている、それが面白くて、昔の人賢いなーって(笑)すごく細やかで奥ゆかしくて感動しました。でも一番惹かれたのは自分が剣山を使って初めて生けた時ですが、正直「何コレ?」と自分では思いました。全然綺麗じゃないし…でも家元に手直しをしてもらった時、見違えるくらい綺麗で、そのギャップに感動し、まったく別の空間が出来上がったというのが、すごく楽しかった。その瞬間に、先生になりますといいました。家元が出石なので、神戸からだと頻繁には通えないので、行ける時には朝から晩まで家元のところで稽古をつけてもらいました。だいたい先生になるまで10年かかると言われていますが、花屋で働いていた経験もあり、3年で先生の免状を取り教室をはじめました。

——— 普通の人の3、4倍のペースでされたんですね。

家元の仕事も手伝いながら、例えばお正月の若松は、普通だと1年に1度しか生けません。10年通っても10回ですよね?家元の受けている仕事を手伝って1日に10回して10年分やるとか(笑)をさせてもらいました。やはり1年に1回だと忘れてしまうので、何度も繰り返すと全然違いましたね。

——— フラワーアレンジメントとの違いにすごく感動されて、ご自身でも表現したいとなったのですか。

この面白さを伝えたいと思いました。今の私に家元のようにギャップが作れているかは謎ですけど。今でもよく見る生け花は、正直今のおうちには合わないなと思うことはあります。生け花のテキストも代々受け継がれているものなので、稽古する花材の例題が古かったりします。生け花は和の花材の組み合わせや、こういうものだという思い込みもたくさんあると思います。だから私はあえて普通の花屋でかわいいと思えるお花とか、家に飾りたいと思うもので生け花をしていただくようにはしています。もちろん、伝統的なものもしっかりお伝えしますけどね。

——— そこはやはり、こだわりというか新しいものを敢えて活用されるのですね。新しいものを積極的に取り入れようとされるのは、古いものから、何か違うものを表現したいというものもおありなのですか

そうですね。多分普通では使わないものも使っていると思います。やっぱり、生け花自体はすごく綺麗なのですが、昔ながらのいけばなは今の家に合わないですよね。床の間があって…という家には合うかもしれませんが、実際一人暮らしのマンションですと、家に持って帰ってもマッチしません。ですから器から何から、スタンダードとされるものはあまり使っていないですね。素敵だなと思うもの、家に合うもの、空間に合うものをおすすめします。花もそうですが、普通の菊とか自分の部屋に…ダサいですよね。お仏壇のイメージじゃないですか(笑)一般的に。でも器や他の花材との合わせ方によってはすごくおしゃれになったりかっこよくなったりするので、普通に生け花をするのではなくて、可愛いな、こんなの生けたいなと思ってもらえるように提案しています。

——— 実際、菊もマリーゴールドも形状的には似ていてわかりづらいですもんね。

それは男性と女性で違うのかもしれませんね。家元もそうですが、あまり花に興味はないらしいです。パーツとして見ているようで。私は花が好きなので、この花とこの花は全然違うと思っていても、家元には色のや形の違う丸をどう綺麗に構成していくかという考え方なのです。でも考え方のズレはあっても、結果やっていることは一緒なんですけどね。それはその人その人の考え方でいいと思います。花に興味がなくても、空間を作る構図が好きで続けられたりもするし、その方が上達も早いかもしれません。花を好きすぎる人は、この花かわいいから切りたくないって感情が邪魔をする場合もあるので。最初の頃は誰でもそうなります。

——— 何かを使うというよりは、空間にはこれが良いというように、周りが先に来るということですね。

そうです。自分がどういう空間にいたいかというところから始まりますね。家に、いきなり生け花がドンとあっても格好よくないじゃないですか。家に合わせた花器じゃないと合わない。だから、統一感も欲しいですよね。いろんなものを持っていてもいいですが、なんかテーマや季節に合わせて、今月はこう。とか変えていけばいいと思います。

——— その空間プラス、コンセプトは、普段生けられる時は、クライアントのテーマを聞き出すのですか。

基本的には基礎から勉強するのですが、それが身についた後は自分で好きなように生けていきます。その時、上達するのに一番早い方法は、今日のテーマを決めようということをします。例えば、今日は法事がありますとか、今日は友達の誕生日ですとか様々です。それぞれ全然違う花ができるじゃないですか。考えて作っていくっていう感じです。花は、最初は私がチョイスします。上達してくれば、ご自分で選んでいただきます。教えてもらう先生を花で選ぶこともあると思うんです。体験に何件か行ったが、ここの花が良かったと言ってくれる人もいます。

——— ご自身のことを、あの先生といえば何?みたいなことってご存知ですか。

私ですか?若いよねって感じじゃないでしょうか(笑)
なんか若い先生頑張ってるよねと、他の先生方は思ってくれてると思います。
30代の先生をあまりお見かけしたことがありません。いらっしゃるのかもしれないけど、本業の方は圧倒的に少ないかと。
私もよく、体験に来られた方に「先生ですか?」って聞かれます(笑)

後編へ続く・・・・・

___ info

華道未生真流「悠月庵」

神戸市東灘区御影石町2丁目12-20
Web http://www.yugetsuan.com
Mail info@yugetsuan.com
Tel 078-777-7507

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