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宮内 誠  > Interview

主役は人間。ヘアスタイルばかりが目立つスタイルはどこかおかしい。

Interview2017.09.27

宮内 誠
deem

メディアへの露出は少ないながら、予約が絶えない美容室「deem」。圧倒的な技術、美しさに対する独特のスタンスが支持され、口コミで人気が広まっています。日本のみならず海外でも美容業界を見つめてきた宮内さんが考える美容師像を伺いました。

ロンドン留学で学んだ
多様な個性、多様な価値観

宮内さんが美容師としてスタートを切ったのは、バブルの真っただ中。大阪・東京で経験を積んだのち、神戸の美容室から声がかかり、また関西の地で仕事を始めました。宮内さんに転機が訪れたのは、ロンドン留学。また、その年は阪神・淡路大震災の年でもありました。

宮内:働いていた店が被災したんです。半年ほど仮設住宅を建設するボランティアをした後、ロンドンへ留学しました。

語学学校に通いながら、求人の張り紙をしていた美容室に直談判。連れてきたモデルをカットして認めてもらい、授業が終わった午後からパートとして働き始めました。

宮内:ヴィダル・サスーンのアカデミーなど美容学校に留学することもできましたが、技術よりもライフスタイルを肌で感じたかった。ロンドンにはさまざまな民族がいて、さまざまな宗教があり、それぞれが自分の価値観を大事にしていました。大事なものは大事にしないといけないということ、周囲の目を気にする日本とは正反対違うライフスタイルを肌感覚で学びましたね。

“きれい”や“カッコいい”の先へ

2年の留学を経て帰国し、神戸の美容室で働いたのち独立。量をこなす営業スタイルから、一人ひとりと必要な時間をかけて対話して仕事するスタイルに転換しました。

宮内:技術が身につけば、短時間でお客様をきれいに、カッコよく仕上げることはできます。しかし、そんな働き方はもういいかなと。必要な時間をかけてお客様と対話し、美容師という仕事を通じて何かを伝えていきたいんです。

提案するのは半歩先を行くスタイル

カッコよく、美しく、きれいなスタイルを提案するのが美容師の仕事。しかしそれだけではダメだと宮内さんは語ります。

宮内:雑誌を見ていていると、髪の毛が歩いているようなスタイルがありますよね。でも、主役はヘアではなく人間。人間が前面に出るようなスタイルを提案しないとダメだと思うんです。お客様がどんな日常を過ごしているのかをイメージして、それをちょっとカッコよく、半歩ぐらい前に進めるスタイルを提案するのが理想。日本人は周りと同じようなスタイルを好み、同じような人と付き合いがち。そんな環境で、髪だけ2歩も3歩も先を行くスタイルというのはちょっとおかしいんじゃないかな。

あくまでも主役は人。その人の個性や生き方とミスマッチなヘアスタイルは中身が伴っていないと感じます。トレンドが画一的になりがちな日本の美容業界。独自の視点から、美容のあり方を問い続けます。

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